IGNITE 越境マーケティング研究所 - Crossover Vol.01
海外マーケティングとAIの交差点から、現場の一次情報とAI時代のSEO実践知をお届けします。
IGNITE 越境マーケティング研究所 - Crossover Vol.01
2026年3月18日配信
このメールマガジンは、海外マーケティングとAIの交差点から実践知をお届けする【越境マーケティング研究所】が、IGNITEのチームの現場知見をもとにお届けするレポートです。
目次
1. 近況
2. Insider Voice
3. 今週の実践Tips
4. ピックアップ記事
5. Q&Aコーナー
▼ 1. 近況
今週は大阪のオフィスにいます。オフィスを移転することにしました。3月末よりグラングリーン大阪に引っ越します。
そして、メルマガをはじめました。
IGNITEが設立して8年近く経ちますが、「メルマガやらないの?」と聞かれることが増えてきました。
ブログには書けないこと、書かないことが実はたくさんあります。
クライアントの案件で「これは面白い」と思った発見。チームメンバーとの雑談で出てきた、各国マーケットの裏話。AIツールを試して「これは使える」と確信した瞬間。そういう話を、もう少しクローズドな場で共有したいと前から思っていました。
僕たちは大阪で海外マーケティングをやっています。日々の仕事の中で、各国の検索行動の違い、広告に対する反応の差、SNSの使われ方のギャップなど、「現場でしか見えない情報」が大量に蓄積されています。
このメルマガでは、そういった現場の一次情報と、AI時代にマーケティングがどう変わるかの考察を、お届けしていきます。
名前は「越境マーケティング研究所」。
「越境」には二つの意味を込めています。国境を越えるマーケティングと、AI × マーケティングという領域の越境。この交差点にこそ、次の10年のチャンスがあると考えています。
どうぞ、お付き合いくださいませ。
▼ 2. Insider Voice -- Yoshi, ニュージーランド出身 / IGNITE代表・海外SEO担当
*メルマガ限定コンテンツ
初回のInsider Voiceは、IGNITE代表のYoshiです。ニュージーランド出身で、海外SEOを専門に10年以上、日本企業の海外展開を支援してきました。テーマは「日本企業の海外SEOで、最初に実施すべきこと」です。
「日本企業の海外向けサイトを見ると、まず気になるのが"翻訳しただけ"のコンテンツです。日本語のページを英語に訳して、それで海外SEO対策は完了、と思っている企業がとても多い。でも、翻訳とローカライズはまったく別物です。
たとえば、日本語で『お気軽にお問い合わせください』と書いてあるページを、英語で "Please feel free to contact us" と訳す。文法的には正しいですが、英語圏のユーザーにとっては少し堅い印象になります。"Get in touch" や "Let's talk" の方が自然で、クリック率も変わります。
もっと大きな問題は、検索キーワード自体が違うことです。日本語で『海外マーケティング 会社』と検索するユーザーと、英語で 'international marketing agency' と検索するユーザーでは、求めている情報の粒度も期待値も違います。日本語コンテンツのキーワードをそのまま英訳しても、現地の検索意図とズレてしまう。
私がIGNITEで常に言っているのは、ローカライズは言葉の問題ではなく、コンテキストの問題だということです。その国の人が何を知りたいのか、どんな言い回しで検索するのか、どんなトーンで話しかけられたいのか。それを理解した上でコンテンツを作らないと、どれだけSEOのテクニックを積み上げても効果は出ません。
外国人の立場から正直に言うと、日本企業のサイトは品質が高いのに、海外向けになると急にクオリティが下がることが多い。翻訳にコストをかけたくない気持ちはわかりますが、最初のタッチポイントで『この会社は自分たちの市場を理解していないな』と思われたら、そこで終わりです。
ローカライズに投資することは、SEOだけでなく、ブランドの信頼性への投資です。」
▼ 3. 今週の実践Tips -- AI Overviewに自社が引用されているか確認する
Google検索で自社のターゲットキーワードを検索して、AI Overviewに自社サイトが引用されているかを確認してください。
やり方は簡単です。Google検索でターゲットキーワードを入力し、AI Overviewが表示されたら、その回答の下部にある引用元リンクを確認します。自社サイトが含まれていれば引用されています。含まれていなければ、対策が必要です。
Seer Interactiveの調査(2025年11月、42クライアント・3,119キーワード分析)によると、AI Overviewに引用されたサイトは、引用されなかったサイトと比べてオーガニッククリックが+35%多くなっています。逆に、引用されなかった場合のCTRは前年比-65.2%と大幅に低下しています。
「AI Overviewに引用されるかどうか」が、新しいSEOの分水嶺です。
出典: Seer Interactive "AIO Impact on Google CTR" (2025年11月)
https://www.seerinteractive.com/insights/aio-impact-on-google-ctr-september-2025-update
▼ 4. SEO × AI -- AI Overviewで「1位を取っても読まれない」時代がやってくる
いま、海外向けSEOを担当しているマーケターが直面している最大の変化は、GoogleのAI Overviewです。
検索結果の上部にAIが生成した回答が表示されるこの機能は、2024年5月に米国でローンチされ、2024年8月に日本を含む6カ国へ、2025年5月には200カ国以上・40言語以上に拡大されました。2026年2月時点では、全追跡クエリの約48%でAI Overviewが表示されています(前年比+58%)。
これまでの海外SEOは「ターゲット国で1位を取れば勝ち」でした。(日本でも同様ですよね。)
しかしAI Overviewが表示されると、ユーザーは検索結果をクリックせずに回答を得てしまいます。
BrightEdgeの1周年レポート(2025年5月)によると、Google検索のインプレッションはAI Overview導入以来+49%増加した一方、CTRは-30%低下しています。Ahrefsの30万キーワード分析では、AI Overview表示クエリにおけるオーガニック1位のCTRが-34.5%低下したと報告されています。
では、海外マーケターは何をすべきなのか。3つのポイントがあります。
(1) AIに「引用される」コンテンツを作る
AI Overviewは、信頼性の高いソースから情報を引用して回答を生成します。
Seer Interactiveの調査では、AI Overviewに引用された場合、非引用と比較してオーガニッククリックが+35%、有料クリックが+91%増加しています。BrightEdgeのデータでは、AI Overviewの引用ソースとオーガニック検索上位の重複率が32.3%から54.5%に上昇しており、「オーガニックで上位に入っている=AI Overviewにも引用されやすい」という構造が強まっています。
つまり、キーワードを詰め込んだだけの記事ではなく、独自データ、専門家の見解、具体的な数字を含むコンテンツが求められるようになりました。
→ ここ重要
IGNITEの自社調査でも、50人の米国ユーザーに聞いたところ、AI積極利用者の66.7%が「独自調査データを引用するブランドに大幅に好印象を持つ」と回答しています。
参考: IGNITEブログ「AIに載らない企業は『存在しない』:欧米ユーザー50人の実態調査が示すLLMO時代の新常識」
https://igni7e.jp/blog/companies-not-in-ai-dont-exist-llmo-survey-2026
(2) ブランド検索を増やす戦略にシフトする
「海外SEO 会社」のような一般的なキーワードでは、AI Overviewに回答を奪われるリスクが高まります。Semrushの1,000万キーワード分析(2025年12月更新)によると、AI Overviewが表示されるクエリの内訳は、当初91.3%が情報系クエリでしたが、現在は57.1%にまで低下し、商業系・取引系クエリにも急速に拡大しています。
一方で、「IGNITE 海外マーケティング」のようなブランド指名検索では、AI Overviewが表示されにくく、CTRも維持されます。
SNS、PR、メルマガなど、SEO以外のチャネルでブランド認知を高める施策が、結果的にSEOにも効いてくるのです。このメルマガ自体が、まさにその施策の一つでもあります。
出典: Semrush "AI Overviews Study" (2025年12月更新)
https://www.semrush.com/blog/semrush-ai-overviews-study/
(3) 多言語 × ローカライズが差別化になる
ここが、海外マーケティング専門のIGNITEだからこそ言える最も重要なポイントです。
Weglotが134万件のAI Overview引用データを分析した調査(2025年11月)によると、多言語で翻訳済みのサイトは、未翻訳サイトと比べてAI Overviewでの表示回数が327%多いことがわかりました。さらに、翻訳済みサイトはクエリあたりの引用数も24%多く、英語では+33%、スペイン語では+16%の増加が確認されています。
AIは、検索クエリの言語に合致するコンテンツを強く優先します。英語クエリには英語コンテンツ、スペイン語クエリにはスペイン語コンテンツ。当たり前のようですが、多くの日本企業はいまだに「英語サイトだけ作ればグローバル対応は完了」と考えています。
IGNITEが各市場の言語でローカライズしたコンテンツを制作する強みは、このAI時代においてむしろ増しています。AIが苦手とする「現地のニュアンス」「文化的文脈」こそ、人間のマーケターが提供すべき価値だからです。
また、Search Engine Landの報道によると、Webコンテンツに占める英語の割合は2023年の55%から2025年には49.1%に低下しており、スペイン語・ドイツ語・日本語・ポルトガル語はシェアを拡大しています。Webは多言語化が進んでいるのに、検索エンジンの対応はまだ追いついていない。ここに、多言語SEOに投資する明確な理由があります。
出典:
Weglot / Search Engine Journal "Translated Sites Boost AI Visibility" (2025年11月)
https://www.searchenginejournal.com/translated-sites-boost-ai-visibility-weglot-spa/559900/
Search Engine Land "Web is Multilingual but Search Isn't" (2025年)
https://searchengineland.com/web-multilingual-search-few-languages-460026
AI Overviewは脅威ではなく、質の高いコンテンツを作ってきた企業にとってはチャンスです。
表面的なSEOテクニックが淘汰され、本質的なコンテンツマーケティングが報われる時代が来ているとも言えます。
多言語展開の基本戦略については、IGNITEブログでも詳しく解説しています。
全文はこちら → https://igni7e.jp/blog/global-seo-strategy-europe-us/
関連記事 → https://igni7e.jp/blog/aio-seo-strategies-international-marketing/
▼ 5. Q&Aコーナー
越境マーケティング研究所への質問を募集しています。
海外マーケティング、AI活用、多言語SEO、広告運用、インバウンド施策など、越境ビジネスに関するご質問をお寄せください。
宛先: contact@igni7e.jp(件名に「Q&A」とご記入ください)
(400文字以内 / お一人様月1問まで)
全てのご質問に必ずお答えできるわけではございませんが、いただいた質問は本メルマガ内で順次回答いたします。
Q.1
海外向けのGoogle広告を始めたいのですが、まず英語圏(アメリカ)から始めるべきでしょうか?それとも競合が少なそうな非英語圏から攻めた方がいいのでしょうか?予算は月30万円程度です。(製造業・BtoB)
A.
結論から言うと、英語圏から始めるべきです。ただし、アメリカではなくオーストラリアをお勧めします。
非英語圏(東南アジアなど)はCPCが安いので魅力的に見えますが、現実的に大きな壁があります。広告文もランディングページも現地語で作る必要がありますし、何より検索クエリレポートが読めないと判断ができません。ドイツ語やタイ語のクエリを見て「これは除外すべきか」「このキーワードを拡張すべきか」を判断するのは、その言語がわからない状態ではほぼ不可能です。
英語であれば、広告文もクエリレポートも自分で読めますし、判断もできます。だからこそ、まず英語圏で始めるのが鉄則です。
では、なぜアメリカではなくオーストラリアか。
アメリカのGoogle広告は、B2Bの製造業カテゴリでもCPC(クリック単価)が1,000〜3,000円に達することが珍しくありません。月30万円だと、100〜300クリック程度で予算を使い切ってしまいます。データを蓄積するには母数が少なすぎる。
オーストラリアは日本から一番近い英語圏で、CPCもアメリカの3分の1〜2分の1程度です。同じ予算でも3倍以上のクリックが得られるため、「どんなキーワードが効くか」「どのランディングページが刺さるか」のデータが早く貯まります。シンガポールも英語圏ですが、IGNITEではオーストラリアの方が購買につながりやすい傾向があるため、まずオーストラリアをお勧めしています。
「英語圏で小さく始めて、データで判断し、スケールする」が海外広告ではおすすめです。
Q.2
ChatGPTやPerplexityで自社名を検索しても出てこないのですが、どうすれば出るようになりますか?
A.
これは最近、本当に多くいただく質問です。そして弊社も課題に直面しています。
まず前提として、ChatGPTやPerplexityが参照するデータは、主にWeb上の公開コンテンツです。自社サイト、ブログ、プレスリリース、業界メディアへの掲載、SNSの投稿、Wikipediaなど、Web上に自社に関する情報が十分に存在していなければ、AIは回答に含めようがありません。
IGNITEが50人の米国ユーザーに実施した調査では、AI積極利用者の72%がChatGPTやPerplexityで情報収集しており、67%が「AIに出てこないブランドは機会損失」と認識していることがわかりました。
具体的にやるべきことは3つです。
1. 自社サイトに「AIが引用しやすい構造」を作る。FAQ形式、データテーブル、明確な定義文を含むコンテンツが引用されやすい傾向があります。
2. 構造化データ(Schema.org)を実装する。AIがサイトの内容を正確に理解するために、Organization、Article、FAQPageなどの構造化データは必須です。
3. 第三者メディアへの露出を増やす。自社ブログだけでなく、業界メディアへの寄稿、プレスリリース配信、インタビュー記事の掲載など、複数のソースに自社情報が存在する状態を作ります。
この領域は「LLMO(Large Language Model Optimization)」と呼ばれ、従来のSEOとは異なるアプローチが必要になります。詳しくは、IGNITEブログの記事もご参照ください。
参考: https://igni7e.jp/blog/companies-not-in-ai-dont-exist-llmo-survey-2026/
株式会社IGNITE 越境マーケティング研究所
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お問い合わせ: ask@igni7e.jp
